理事長あいさつ 
 






 
公益財団法人 元興寺文化財研究所 理事長 辻村 泰善 

 公益財団法人元興寺文化財研究所は、創立当初名の元興寺仏教民俗資料研究所が示す通り、仏教に係る民俗資料の研究が主眼でありました。しかし、内外の状況変化に応じて更に、文化人類学的視点、資料保存の科学的処理法の研究開発とその実用、実践へと拡大しております。
 また、経済的・周辺的支援を目的とする元興寺文化財研究所民俗文化財保存会は、関西経済圏を中心とする会員会社により、国や各財団補助事業の補完的役割を担ってきました。しかし、これも更に、持続可能な支援形態への取り組み、個人会員の確保開拓へと模索しています。
 奈良町と呼ばれる市街地の中に残る元興寺が、建造物や美術工芸品の解体修理や、収蔵庫建設、防災工事にともなう発掘調査によって、発見された約10万点の資料を保存し研究することから始まった研究所です。
 “埋もれた文化財、忘れられた文化財、危うい存在の文化財を出来るだけ早急に、安全に、可逆性のある方法で保存する”と同時に、その文化財の研究が為されなければならない。それには、これまで培ってきた当研究所の実績と、関係学会の最新の研究成果をいち早く応用することです。
 このことによって初めて、我が国はじめ各国のかけがえのない文化財を未来に伝えることができる。当研究所は、その方面のパイオニア的存在であり、その一翼を担っています。
 世界文化遺産「古都奈良の文化財」のひとつに登録された元興寺は、その意味で研究所と表裏一体の関係です。
 ついては、大方に、文化財保護、保存の意義と必要性をご理解いただき、当研究所の事業運営にご協力、ご支援賜りますようにお願い申し上げます。

                 
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