平成20年度(2008年)秋季特別展

 
近世律師の肖像 ―その姿とこころ―

会期:平成20年10月26日(日)〜11月9日(日)
元興寺総合収蔵庫3階
(宗)元興寺・(財)元興寺文化財研究所 共催  

 律師とは、「戒律」に通じてこれを堅持した僧のことをいう。「戒律」はもとより集団生活を営んだ出家修行者たちの実践的な日常生活規範であり、年齢と受戒内容とによって正式な教団構成員である比丘・比丘尼とになりえたものである。
 天平勝宝六歳(754)に来日された鑑真和上は戒を授けるべき「戒師」として招請されたのであり、以後日本においても正式僧の育成が始まった。
 鎌倉時代には、西大寺の興正菩薩叡尊・その弟子で鎌倉・極楽寺を開いた忍性、あるいは唐昭提寺の大悲菩薩覚盛らが出て、戒律復興を称えて病者救済などの社会福祉事業にも取り組んだことはよく知られている。
 その後、戒律遵守の風は沈滞していたが、近世を迎えて戒律の重要性が再び着目され、京都の西明寺、泉州の神凰寺、河内の野中寺 の「律三僧坊」が成立すると、それに続いて律僧が輩出され仏教の興隆に努められた。
律師は、妻帯を持たず一代限りであった。それゆえ師に向けられた弟子たちの強い敬慕の念は、その姿を写実性の高い絵画、彫刻によって留めようと願ったものだと考えられる。

 展覧会では、江戸時代に活躍した律師の肖像(肖像画・彫刻)に焦点をあて、個性豊かな絵画・彫刻を鑑賞しながら、師と弟子の心のさまにも思いを寄せていただいた。

講演会 「律衣について」

日時:平成20年11月3日(祝)
   13:30〜14:30
会場:元興寺 禅室(国宝)
講師:元興寺住職 辻村泰善

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