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令和7年度秋季特別展『民俗文化財を後世に ―被災資料と「紙の仏」―』開催概要
1.
会 期 令和7年10月25日(土)から11月16日(日)まで
2.
場 所 世界遺産元興寺 法輪館(奈良市中院町11番地)
3.
観覧料 世界遺産元興寺入山料に含む
(大人800円、中高生600円、小学生400円)(秋季特別展期間内)
4.
主 催 世界遺産元興寺・公益財団法人元興寺文化財研究所
5.
概 要
2024年は、当研究所において民俗文化財(伝世資料)自体の保存処理・修復を行ってきて50年の節目の年でした。当研究所では、1974年の「赤穂の製塩用具」を嚆矢として民俗文化財の保存処理を開始して以来、数多くの国指定重要有形民俗文化財の保存処理を担ってきました。その後、対象を拡大し、国宝・重要文化財を含む彩色資料・彫刻・美術工芸品・紙資料・石造品など伝世資料全般に範囲を広げました。その基礎にあるのは民俗文化財の保存処理・修復で培ってきた、様々な技術です。
当展覧会は、主に修復を行った資料を展示し、その技術と実績を振り返り、広く民俗文化財そのものや保存処理・修復の意義を紹介します。その際、大きく2つのサブテーマにより構成します。一つは、被災資料の保存処理・修復です。この半世紀には大規模災害として、阪神淡路大震災、東日本大震災などがありました。これらの震災で被災した資料のなかから、研究所で保存処理・修復した資料を展示し、被災の実態や、保存処理・修復の内容、そして被災資料を残すことの意義を紹介します。
もう一つは、修復を契機に様々な研究へと展開した事例として、「紙の仏」を取り挙げます。元興寺に所蔵される紙製地蔵菩薩立像(おかみさん地蔵)は、当研究所での修復で珍しい紙製仏像の構造や制作に関する知見が得られ、像内納入品も見いだされ研究が進んでいます。紙製仏像の類例は徐々に増えてはいますが、総合的な考察は緒についたばかりです。そのため、当展覧会をとおし、他の事例も含めて検討し、改めてその特質や位置付けを提示することで、関心を喚起するとともに、研究の更なる進展の一助となることを趣旨としています。
6.
展示構成
はじめに 民俗文化財修復の半世紀
第1章 修復と社会―半世紀中の発災と民俗資料
―1 近年の災害と保存修復
-2 阪神・淡路大震災と民俗資料修復
―3 東日本大震災と民俗資料修復
第2章 修復からの展開―「紙の仏」の総合研究
―1 元興寺所蔵「おかみさん地蔵」の修復と研究
―2 信仰の対象としての「紙の仏像」
むすびに 新たな展開 /民俗文化財を残すことの意義
7.展示資料リスト(調整中)
・民俗資料
四国村 精糖用具・醤油醸造用具
・被災資料
阪神淡路大震災 西宮神社所蔵 奉納絵馬「神馬図」
東日本大震災 陸前高田市立博物館所蔵 「陸前高田の漁撈用具」
岩沼市所蔵 「荷鞍」
西林寺 旧本尊阿弥陀如来像焼損首枘
・紙製の仏
元興寺 紙製地蔵菩薩立像 像内納入品
聖林寺 紙製地蔵菩薩立像
妙法寺 紙製阿弥陀如来坐像
甲山寺 紙製勢至菩薩立像
潮音寺 紙製法然上人坐像
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