金属器保存研究室
 発掘調査で出土する金属製品は、金属器が日本列島に登場した弥生時代から近代まですべての時代にわたるもので、各時代の人々の営みを描き出す手がかりとなる、非常に重要な価値をもつものです。しかし、これらの金属製品は土の中に埋まっている間に錆びて崩壊したり、発掘調査で掘り出されたことにより新たな錆が発生して崩壊することもあります。
 金属器保存研究室では、こうした金属製品について錆の進行を抑え強化することにより、これらを未来へ残し伝えていくことを目的としています。併せて、考古学的な調査研究、保存処理法の研究、脆弱な遺物の取り上げ、安定台や復元品の作製などの活動も行っています。
  
〜保存処理工程の一部をご紹介します〜
1.処理前調査・
クリーニング作業 
2.防錆処理・樹脂含浸 3.接合
・復元作業
4.処理後調査
 写真やX線写真を撮り、処理に入る前の遺物の状態を把握します。それに基づいて土やさびを除去していきます。
 鉄製品は、薬液に浸けて、さびる原因となる物質を取り除く処理を行います。銅・青銅製品は薬剤(BTA)を用いてさびる原因となる物質から守る処理を行います。
 その後、遺物の強化と防錆のためフッ素系アクリル樹脂を減圧含浸します。
       
 ばらばらになった遺物は、接合をおこない形状を復元していきます。 処理の過程で得られた知見や処理の方法などをまとめた記録を残し、経過観察をします。
 磯辺王塚古墳出土 銀象嵌装円頭大刀柄頭(所蔵:豊橋市教育委員会)

1.保存処理を行う前の写真

2.X線写真
錆の下に隠れている文様が確認できます

3.保存処理を行い、
銀象嵌を表出することができました
 心合寺山古墳出土 三角板革綴短甲(所蔵:八尾市教育委員会) 
 
 
1.保存処理を行う前の写真 
 
3.保存処理を行い、短甲を組み上げて展示するために安定台も作成しました
 
2.型取りを行っている様子
主な実績   
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